筋肉をつけるにはタンパク質が重要だと聞きました。
なぜタンパク質が重要なのでしょう?どうやったらタンパク質が摂れますか?
タンパク質は筋肉をつけるためにとても重要な栄養素として知られています。
実際、ボディメイク競技に出場している僕もプロテインを飲んだりとかなり意識して摂っています。
また、置き換えダイエットでプロテインを使うなど、かなりの多くの面で重要視されている栄養素といえるでしょう。
しかし、実際タンパク質って何故そこまで重要と言われるんでしょうか?
そもそもタンパク質ってどういう栄養素なの?
今回はそんな何故重要なのかイマイチ知られていないタンパク質について、1日にどれくらい摂ればいいのかなどについても触れながらお話していきます。
タンパク質とは?
タンパク質とは三大栄養素の一つで、約20種類のアミノ酸が結合したものです。
タンパク質は筋肉をはじめとして髪の毛や爪など身体の様々な部位を作る重要な栄養素です。
タンパク質の英語であるProteinという単語のもともとの語源であるProteiosは、ギリシャ語で最も大切なものという意味であることからも、タンパク質は私達の身体にとって重要なものであることが伺えます。
タンパク質は以下の表のような体内で合成できない9種類の必須アミノ酸と合成可能な11種類の非必須アミノ酸で作られています。
必須アミノ酸 | 非必須アミノ酸 |
バリン ロイシン イソロイシン リジン ヒスチジン スレオニン フェニルアラニン メチオニン トリプトファン | アラニン ブロリン アルギニン アスパラギン アスパラギン酸 グルタミン グルタミン酸 システイン チロシン グリシン セリン |
タンパク質は太らない栄養素
タンパク質は三大栄養素の中では炭水化物、脂質よりも圧倒的に太りにくい栄養素です。
食事をした後、食べたものを消化吸収するにはたとえ安静にしていたとしても当然エネルギー消費が必要になります。
この、食べ物を消化する時に消費されるエネルギーを、食事誘発性熱産生といいます。
炭水化物(糖質)では摂取したエネルギーの6%程度、脂質では4%程度の食事誘発性熱産生が生じるのに対し、タンパク質の食事誘発性熱産生は摂取したエネルギーの30%程度と圧倒的多いのです。
つまり、同じだけのカロリーを炭水化物、脂質、タンパク質それぞれで摂取した場合、食事誘発性熱産生の関係でタンパク質が最も太りにくいということになります。
タンパク質は三大栄養素の中で消化吸収時に消費されるエネルギーが最も多く、太りにくい栄養素であるため、ダイエットを行う際はタンパク質をしっかり摂取する方がダイエット効果は高いということになります。
運動をしていないとタンパク質は太ると言われたりしますが、仮にタンパク質を増やして太ったという場合、他の栄養素を摂りすぎている可能性のほうが高いです。食事における炭水化物、脂質の摂取量を再度計算してみると良いでしょう。
1日の摂取量
さて、タンパク質が身体にとって重要な栄養素であること、太りにくいことはわかりましたが、実際のところ1日のどれくらいの量を摂ればよいのでしょうか?
その答えの一つは、厚生労働省が2020年発表した、日本人の食事摂取基準で得ることができます。
この日本人の食事摂取基準では、体重1kgに対して0.66g以上のタンパク質を男性か女性か、年齢が何歳であるかに差は特に設けず摂取するように推奨しています。
大体体重60kgの人で約40g以上を摂取するような形ですね。
厚生労働省はその上で、目標量として1日の総摂取エネルギーの13%~20%程度をタンパク質で摂取する必要があると定めています。
しかし、これはあくまでも健康的に生活をする、生命活動を行うための摂取量であり、筋トレを生活習慣として取り入れて、筋肥大を目指している方にはタンパク質の量がやや不十分です。
1日のタンパク質摂取量の研究として、マクマスター大学のMortonの2017年の報告によると、最も効果的な筋肉量増加、筋肥大を促す24時間のタンパク質摂取量は最小値が1.03g/kg、最大値が2.20g/kg、平均値は1.62g/kgであった(Morton,2017) とされているからです。
つまり、筋肥大を目指す方に関しては、1日に1.6g/kg前後のタンパク質を摂ることを目安に食事を進める必要があると考える事ができます。
また、タンパク質の過剰摂取は腎臓に負担をかけてしまい、腎機能障害に陥る可能性がありますが、この1.62g/kgという量はタンパク質の過剰摂取に当たらないのでしょうか。
これは、2018年のDevriesらによる報告では、1日に1.81±0.60g/kgの高タンパク摂取と、0.93±0.51g/kgの通常程度のタンパク質摂取量における、糸球体濾過量への影響を解析した結果、その変化に有意差はみられず、高タンパク質の摂取は、腎臓の機能にダメージを与えないと結論付けられています。
この報告により、少なくとも1.62g/kgのタンパク質摂取量は、腎臓病を罹患していない健常人にはとくに悪い影響がないことがわかります。
体重1kgに対して5gとか10gとか尋常でない量を摂らない限りは問題はないでしょう。
タンパク質の種類
大きくはホエイ(乳清タンパク)、カゼイン(牛乳などのタンパク質)、ソイ(大豆タンパク)があります。単純に動物性タンパク質と植物性タンパク質に分けることも多いかと思います。
特徴としては、ホエイが最も吸収速度が早く、カゼイン、ソイは緩やかに吸収されるといったものがあり、ホエイは筋肉の合成の活性化、ソイは筋肉の分解抑制に使われると言われています。
アミノ酸スコアとは
タンパク質の質を表す指標として、アミノ酸スコアというものがあります。
アミノ酸スコアとは、タンパク質に含まれる必須アミノ酸がどれだけバランス良く含まれているかを評価する指標のことで、最大値は100です。
アミノ酸スコアが100の食品は基本的に肉などの動物性のタンパク質と、大豆タンパク質です。米や麦、その他野菜などに含まれるタンパク質はアミノ酸スコアはそれよりも低い傾向にあります。
アミノ酸スコアが低いということは、必須アミノ酸が不足しているということになり、筋肥大などにおいて身体を作る材料が不足しているということになります。
おすすめの食材
それでは、タンパク質を摂るのにおすすめな食材をいくつか紹介していきたいと思います。
赤身の牛肉
赤身の牛肉はタンパク質源として非常におすすめです
赤身の牛肉は、脂質が少なく高タンパクであり、余分な脂質を摂らずにタンパク質を摂取することができます。
また身体に吸収されやすい鉄分である「ヘム鉄」や、筋トレなど無酸素運動におけるエネルギーを作る材料となるクレアチンも含まれており、僕らのようなトレーニーや、瞬発的な動作を必要とするスポーツを行っている人に特におすすめな食材です。
鶏の胸肉
鶏の胸肉も肉類の中ではタンパク質源として非常に優秀です。
値段が安く、たくさん摂りやすいという点でも優秀ですが、それ以上におすすめの理由があります。
それは、鶏の胸肉には抗疲労成分、疲労回復効果のある「イミダゾールジペプチド」が豊富に含まれているという点です。
減量中は疲労しやすいこともありますし、胸肉は皮を剥けばほとんど脂質もないため特にダイエットをしたい人におすすめの食材です。
胸肉のパサパサ感が苦手な人には、胸肉1枚にフォークで穴を開け、白だしなどで味付けをした後にタッパーに入れ、4〜5分レンジでチン、その後5分程度予熱で熱を通す調理方法が、肉汁がほとんど出ずパサパサしていないサラダチキンが作れるのでおすすめです。
サバなどの青魚
サバの水煮缶など比較的リーズナブルに手に入れることのできる青魚もタンパク質源としてはおすすめです。
どうしても胸肉よりは脂質が多くなってしまいますが、青魚の脂肪は不飽和脂肪酸の中でもオメガ3に含まれる、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)が豊富であり、良質な脂質源となります。
フィッシュオイルというサプリメントにもなるこの脂質は減量にも増量にもおすすめなものであるため、青魚でタンパク質を摂るついでにこの良質な脂質も摂ってしまいましょう。
ブロッコリー
どうしても肉や脂質よりはタンパク質の量は少なく、アミノ酸スコアも低くなってしまいますが、野菜の中ではブロッコリーがおすすめのタンパク質源です。
というのは、ブロッコリーにはタンパク質以外に豊富なビタミンが含まれており、100gも食べれば一日に必要なビタミンCの摂取が可能なほどです。
ブロッコリーに含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素は水溶性であるものが多いため、調理方法としては栄養素が溶け出した水分ごと飲めるスープや、電子レンジなどで蒸す調理がおすすめです。
まとめ:身体を作るタンパク質、しっかり食べましょう
今回は、健康にとって重要なタンパク質についてお話しました。
タンパク質は運動をしているしていないに関わらず重要な栄養素であることがよくわかりますね。
そのほか三大栄養素である炭水化物や脂質についても記事を書いておりますので、合わせてお読み下さい。
このブログでは、上記のようにフィットネスやダイエット、食事などに関連した内容を、医療従事者(理学療法士)兼パーソナルトレーナーの目線からお伝えしていきます。
他の記事も是非、ご一読ください。
今回は、以上です。
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