炭水化物の中でも糖質は太る、食物繊維をしっかり摂れなんて言いますが、糖質とか食物繊維とかよくわかりません。どっちも炭水化物ではないのですか?
普段から食べているけれど、結局炭水化物ってなんなんでしょうか?知りたいです
私達日本人にはお米などで馴染みの深い炭水化物。
最近では、糖質は太る原因だなんて言われて悪者扱いされていたりもします。
ですが、実際のところ炭水化物ってなんなんでしょうか?
今回の記事では、炭水化物とはどんな栄養素なのか、糖質って?食物繊維って?といった内容についてお話していきます。
炭水化物とは?
まずは、炭水化物が何者であるかについて確認していきましょう。
炭水化物(carbohydrates)はタンパク質、脂質と同じ三大栄養素の一つで、1gあたり4kcalのエネルギー量を持ち、大きくは糖質と食物繊維に分けられます。
糖質や食物繊維といった言葉は聞いたことがある人が多いと思いますが、その詳細な部分についてはあまり知らない人も多いかもしれません。
炭水化物についてより深く確認していきましょう。
糖質とは?
炭水化物のうち、糖質は体の主なエネルギー原となります。
糖質はさらに糖類と多糖類、糖アルコールに分類され、糖類は単糖類や二糖類に分けられます。
糖類には単糖としてブドウ糖や果糖が、二糖として砂糖(ショ糖)、乳頭、麦芽糖が含まれます。
糖類の多くは消化吸収速度が早く、食後の血糖値が上がりやすいとされます。
多糖類は糖類と比較すると消化吸収に時間を要し、消化性多糖類と難消化性糖類に分けられます。
消化性多糖類は米や小麦などのデンプンやオリゴ糖などが含まれ、難消化性糖類は食物繊維の仲間とされます。
糖質は無酸素運動、有酸素運動ともに運動の主なエネルギーとして使用される他、グリコーゲンとして身体に貯蔵されます。
糖質が不足すると・・・
近年は糖質制限ダイエットの流行もあり、糖質はダイエットやボディメイク、健康の大敵だとされる風潮があります。
僕自身も、鍛えているのに糖質とるの!?なんて言われたりします・・・
しかし、糖質は身体にとってとても大切なエネルギー源の一つ。
特に単糖類であるブドウ糖は脳や神経のエネルギーとなるため、不足すると健康被害や、生命の危機が生じる可能性があります。
こういうと、そんな大切な糖質を制限する糖質制限ダイエットは身体にとって悪いものに聞こえますが、そうではありません。
しかし、糖質制限ダイエットにはいくつか知って置かなければならない理論やルールがあります。
この知識を知らないままに糖質制限ダイエットを行うことは、上記のように糖質が不足した結果の健康被害を受けることにもなりかねないので、安易に手は出さないほうがベターです。
繰り返しになりますが、糖質は身体にとってとても大切なエネルギー源です。
糖質を悪者扱いせず、身体に必要な量は確実に摂るように気をつけましょう。
食物繊維とは?
食物繊維は身体に吸収されず体外に排出され、糖質のようにエネルギーにはならないといった特徴があります。
また、食物繊維は腸内の善玉菌の餌にもなるため、腸内環境を整える作用もあります。
そんな食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2つに分けられます。
2つの食物繊維についてそれぞれ、確認してみましょう。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維はその名前の通り、水に溶けない性質と、水分を吸収する性質があります。
不溶性食物繊維を摂取すると、その水に溶けない性質と水分を吸収する性質により、水分を吸収して膨らみ、腸管を刺激します。
水分を吸収し、膨らんだ不溶性食物繊維が腸管を刺激することで、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通が促進されます。
不溶性食物繊維は主に野菜やキノコ類などに含まれています。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、その名前の通り水に溶ける性質があり、水に溶けることでゲル状になります。
水溶性食物繊維はこのゲル状になる性質によって、便を柔らかくして排泄を促したり、栄養素(特に糖質)の吸収を緩やかにしてくれる作用があります。
また、水溶性食物繊維は腸内で善玉菌の餌となり、腸内環境の改善にも役立ちます。
水溶性食物繊維は昆布、わかめ、こんにゃく、果物、里いも、大麦、オーツ麦などに含まれます。
炭水化物の身体への作用
炭水化物の身体への作用としては、消化の過程で単糖類であるブドウ糖まで分解された後に、体内に吸収され、身体のエネルギー源となることが知られています。
しかし、具体的に身体のエネルギー源といっても実際にはどのように使われるのでしょうか。
ここでは、炭水化物が実際にどのように身体へ作用していくのかについて確認していきます。
炭水化物とインスリン
炭水化物のうち糖質は、単糖類であるブドウ糖まで分解された後に、小腸で吸収されます。
この時、小腸に糖質が吸収され、血液中に入ると、私達もよく知るように血糖値が上昇します。
糖質は血液中にある状態のままではエネルギーとして利用できません。
そこで、身体は膵臓からインスリンというホルモンを分泌します。
インスリンには糖質を細胞中に取り込む作用があり、このインスリンの作用があって初めて糖質はエネルギー源として利用されます。
なお、この時エネルギーとして利用されなかった余剰分の糖質は同じくインスリンの作用によりグリコーゲンとして肝臓や筋肉に非常用のエネルギー源として蓄えられます。
筋肉と炭水化物の関係
炭水化物は身体のエネルギーとなることをここまでで説明してきました。
身体のエネルギーとなる以上、当然炭水化物は筋肉にも影響を与えます。
炭水化物が不足した状態になってしまうと、身体はエネルギーとして利用できるものがなくなってしまい、身体中の筋肉などのタンパク質を糖新生という作用により分解し、エネルギーとして利用できる糖質に再合成しようとします。
そうなると、当然身体の筋肉量が減ってしまいます。
炭水化物は筋肉量の維持のためにも重要なため、しっかりと摂取しましょう。
炭水化物と肥満
炭水化物は、上記でも述べたように、インスリンの作用によりエネルギーとして使われたり、肝臓や筋肉に非常用のエネルギー源として蓄えられます。
この時、糖質を摂りすぎたりすると、一度に分泌されるインスリンの量が多くなってしまいます。
一度に分泌されるインスリンの量が多くなると、当然細胞に取り込まれる糖質も多くなるのですが、そうなってしまうと、肝臓や筋肉だけでは糖質をグリコーゲンとして取り込み切れません。
肝臓や筋肉だけで糖質を取り込みきれなくなってしまうと、インスリンは中性脂肪の合成も促進し、体脂肪として糖質を蓄えてしまいます。
必要以上の炭水化物の摂取は体脂肪を増やしてしまい、肥満の原因となってしまうので、炭水化物の摂りすぎには注意が必要です。
インスリンとGI値
上記のように、糖質を摂りすぎるなどして、インスリンの分泌量が多くなってしまうと、結果として体脂肪が増えてしまい肥満になってしまうことを説明しました。
つまり、肥満を避けるためには1度に分泌されるインスリンの量を抑える必要があるということです。
インスリンの分泌量を抑えるためには、糖質を摂りすぎないことも大切ですが、インスリンの分泌量が少ない食材を選ぶことも大事です。
この、どれくらいインスリンが分泌されやすいのかを表した数値として、GI値があります。
GI値とは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略で、食材ごとの食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。 このGI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇するため、その分一度に分泌されるインスリンの量が多くなります。
反対に、GI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇するために、一度に分泌されるインスリンの量は少なくなります。
このことから、GI値が低い食材を選べば、インスリンの分泌量を抑えることができるため、GI値が低い食材は太りにくいということになります。
炭水化物は1日にどれくらい取ればいい?
ここまで、炭水化物とはどのようなものか、どういった身体作用があるのかについてお話していきました。
次は炭水化物は1日にどれくらい摂ればよいのかについて、2020年厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準を参照しながら、お話していきます。
炭水化物の1日の摂取量
炭水化物は1日の総摂取エネルギー中50〜60%程度を摂ることを目標にすることを推奨されており、摂取する食物繊維のうち、年齢により差はあれど15g前後を食物繊維で摂ることが推奨されています。
この量は、例えば一日に必要なエネルギーの量が2000kcalの人の場合は、250g〜300gの摂取が推奨されているということです。
この量はお米で言えばおおよそ2.5合分くらいでしょうか。
日本人の食事は米食が中心であるため、炭水化物が多くなりがちです。
この食生活にさらに甘いものなどを好んで食べたり、飲んだりすると、人によっては炭水化物を摂りすぎになってしまいます。
また、社会人は仕事に追われてしまい、インスタント食品やお惣菜などの食事が中心になってしまい、食物繊維摂取量が非常に少なくなる傾向もみられます。
炭水化物をどう摂っているかを見直すのは、ボディメイクにはもちろん、健康的に生きていくためにも重要と言えるでしょう。
まとめ:炭水化物は悪者ではなく大切な栄養なのでしっかり食べましょう。
今回は炭水化物についての記事を書きました。
炭水化物は身体にとって大事な栄養素であることがよくわかりますね。
同じ三大栄養素であるタンパク質、脂質についても記事を書いておりますので、合わせてお読み下さい。
このブログでは、上記のようにフィットネスやダイエット、食事などに関連した内容を、医療従事者(理学療法士)兼パーソナルトレーナーの目線からお伝えしていきます。
他の記事も是非、ご一読ください。
今回は、以上です。
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